「貿易保険法」改正へ 保険の対象を拡大
4月4日、「貿易保険法の一部を改正する法律案」が成立した。
経済産業省の発表によると、今回の改正は、平成25年1月に発生したアルジェリアでのテロ事件などや日本企業の海外事業地域での戦争やテロなどのリスクの増大、海外子会社での取引形態や資金調達の多様化などを背景として、新たに事業展開を安定的に行うための支援措置を強化する目的で行われた。
「貿易保険」とは、外国企業への輸出、投資、融資等などの対外取引の際に生じる危険のうち通常の保険では填補できない戦争やテロに伴う損害や相手方の破産による代金回収不能等に伴う損害を填補する保険。
日本貿易保険(NEXI)【名称:独立行政法人日本貿易保険 理事長 板東一彦】が保険を引き受け、政府(貿易再保険特別会計)がこの保険について再保険(NEXIの貿易保険に対して新たに保険を行う)を行っている。
http://www.meti.go.jp/press/2013/02/20140207001/20140207001.html
今回の改正の概要は下記のとおり。
■戦争やテロリストへの対応
日本企業が戦争やテロによる事業の中断によって負担する人件費、貨物保管費等の追加費用を保険の対象とする。
■海外子会社等による事業活動支援
日本企業の製品をシンガポール【名称:シンガポール共和国】の海外販売拠点を介してインドネシア【名称:インドネシア共和国】に販売する場合、日本企業から基幹部品の輸出を受けたタイ【名称:タイ王国】の海外子会社が製品として組み立ててインドネシアの外国企業に輸出する場合など、本邦企業の海外販売拠点や本邦企業の海外子会社による輸出やサービス提供等の取引を保険の対象とする。
■資金調達の円滑化
オーストラリアにおける日本企業のLNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)開発プロジェクトに日本企業の海外拠点や外国企業が融資を行う場合など、本邦企業が関与する資源開発事業等に対する本邦企業の海外拠点や外国企業からの融資(現地通貨建て融資等)、つなぎ融資を保険の対象とする。